故郷のウメ星が爆発してしまったため地球に逃れてきたウメ星国の王室一家が地球の平凡な一家に居候するギャグ漫画。前作『21エモン』が、非日常世界(未来)における日常物語というコンセプトで描いたものの、当時の読者の反応が今一つだったことから、再び「日常に非日常的なキャラクターがいる」というコンセプトに立ち戻って描いた作品。藤子・F・不二雄の原点に立ち戻った作品だが、特に際だった物語にならず人気も今ひとつで終了する。しかしデンカ一家が乗って来た、壷型宇宙船から色々な道具が出てくるという設定は、本作の次の連載となる『ドラえもん』の「四次元ポケット」のプロットになった。
本作に登場するロボット・ゴンスケは、『21エモン』のメイン・キャラクターを務めたが、本作でもまたメイン・キャラクターとして登場。藤子作品においては小池さんや神成さんなど複数作品に登場したサブ・キャラクターは幾人かが見受けられるが、メイン・キャラクターが異なる作品にまたがってレギュラー登場した唯一の例である。ただし『21エモン』登場時に比べ、性格・能力がパワーアップされている。
漫画『ドラえもん』(32巻「なんでも空港」)や『チンプイ』に登場したことから、同一世界であることが窺える。
1968年から1970年まで小学館の学習雑誌の『小学一年生』-『小学四年生』・『よいこ』・『幼稚園』に連載、1969年に『週刊少年サンデー』に連載。『月刊絵本』1969年2月号、6月号にも掲載。最後に連載が終わった『小学二年生』『小学三年生』では、最後の2回を藤子Fの代わりに、アシスタントのしのだひでおが代筆。初期の単行本ではしのだ版最終回が使用されたが、2012年現在入手可能な小学館コロコロ文庫版では藤子Fの筆による最終回のみ収録、藤子・F・不二雄大全集版ではしのだ版と藤子F版両方の最終回が収録されている。
1969年にはTBS系でアニメ化、1994年には映画『ドラえもん のび太と夢幻三剣士』の併映作として『宇宙の果てからパンパロパン!』が作られた。前年の1993年には再テレビアニメ化の話が持ち上がり、パイロットフィルムも制作されたが、結局実現には至らなかった。
中国でも『酸梅星王子』というタイトルで漫画が発行された。


 

筆者の宝物

主要キャラクター

  • デンカ主人公。ウメ星王国の王子。
  • 中村太郎
  • 東京都在住の小学生。成績は中ぐらい。常にウメ星一家に振り回される。
  • ウメ星国王ウメ星の王様。温厚な性格。ウメ星国民のため祖国復興を願いつつ、中村家に居候している。セリフの語尾は「〜ぞよ」。すぐ他人に勲章を授ける癖がある。
  • ウメ星国王妃ウメ星のお妃様。語尾は「〜まする」。
  • ベニショーガ侍従。忠臣だが直情型ですぐカッとなり、失敗するとすぐ切腹しようとする。語尾は「〜でござる」。
  • ゴンスケベニショーガが購入したお手伝いロボット。愛読書は電話帳。
  • ナラ子ベニショーガの娘。ウメ星爆発後はプロキシマに逃れていたが父に会うため地球へ来る。ゴンスケに匹敵する乱暴者。
  • フグ田太郎のクラスメート。ガキ大将。
  • サンカク太郎のクラスメート。腰巾着。