漫画は『週刊ぼくらマガジン』(講談社)にて1969年1号(創刊号)から1970年35号まで、幼年版が同社『たのしい幼稚園』にて1970年1月号から同年12月号まで連載された。モジャ公、空夫、ドンモの3人が宇宙に家出してさまざまな冒険をするストーリー。特に『ぼくらマガジン』版において、全体的にシュールでハードな高学年向け物語をギャグで支え、かつ風刺や皮肉、時にはグロテスクな描写やブラックユーモアを加えて描いたエネルギッシュなSFアドベンチャー作品となっている。連載終了した『21エモン』の続きを描きたいという作者の希望から始まった作品で、少年と宇宙生物とロボットのトリオが宇宙のあちこちを冒険するプロットを継承している。
2012年現在、藤子・F・不二雄作品で新規にTVアニメ化された最後の作品である。なお、アニメ版は漫画原作版とはストーリー・設定等が大幅に異なる独自のものとなっている。


 

筆者の宝物

「ざっくり」あらすじ

ある日、家出を考える空夫のもとに、同じくそれぞれの星で家出をしてきた宇宙人のモジャ公、ロボットのドンモが宇宙船でやってきて、3人で宇宙に家出をする。愉快で自由気ままな旅のはずが、成り行きで参加したアステロイドラリーや伝染病が蔓延する無人の惑星での決闘、詐欺師オットーとの丁々発止、不死の星で自殺フェスティバル、精神に仮想現実を送信することで架空の現実を体感させて支配する死人の星…行く先々はほとんどが命がけの冒険になってしまう。
アニメは漫画原作と異なり、モジャラ(モジャ公)とドンモが地球に漂着して、ロケットを直す材料のコスモストーンを探すために、空夫達と旅をすることになる。のちにコスモストーンを全部見つけて、ロケットを直す事ができ、それ以降は生活ギャグ的な話がメインだったが、モモンジャが登場の51話からは、本当の宝を見つける旅に出かける。


 

作者愛用の品々

最終話

 

前述通り、本作は意図を完遂できぬまま打ち切られた『21エモン』の設定を再利用して描かれ、作者本人が「楽しんで描いた」と述懐するほど入れ込んだ作品であるが、幼年向け雑誌としては難解なストーリーが仇となってか、作者にとっては不本意な打ち切りに終わった。
雑誌掲載時の最終話は、1970年32号から35号まで描かれた「不死身のダンボコ」というエピソードである。しかしこのストーリーには最終回としての要素は全く見られず、結末も作品全体をまとめる内容とはなっていないため、作品自体が未完とも考えられる唐突な終わり方となっている。
完結後の1971年に虫プロ商事から発行された虫コミックスの単行本(全2巻)においては、最終話が「不死身のダンボコ」の1つ前のエピソードである「地球最後の日」となっており、「不死身のダンボコ」は未収録となった。さらに1976年に朝日ソノラマから発行されたサンコミックス版単行本(全2巻)においても、同様の措置が取られている。
「不死身のダンボコ」は1988年に中央公論社から発行された藤子不二雄ランドの単行本(全3巻)においてようやく単行本初収録となったが、掲載が「地球最後の日」の前となり、ここでも最終エピソードは「地球最後の日」となっている。1989年には同社から愛蔵版(全1巻)が発行されており、こちらでは掲載順は藤子不二雄ランドと同様であるが、「地球最後の日」に最終話を強調するための加筆が施される措置が取られた。こうして『モジャ公』は「地球最後の日」が最終話となり、連載終了から約20年を経て作者の手による正式な結末が付けられた作品となった。
なお1995年には小学館からコロコロ文庫版文庫本(全2巻)が発行されているが、こちらでは「不死身のダンボコ」は未収録、「地球最後の日」は加筆版が掲載されている。