1968年から1969年にかけて『週刊少年サンデー』に連載され、その後『朝日小学生新聞』での連載やアニメ化など各種メディアに展開された。藤子・F・不二雄は「これまで日常の舞台にオバケやスーパーマンなどの「非日常」が入り込むことで生まれるギャップの面白さを描いてきたが、ひとつその逆をやってみようと思い、この21エモンを描きました。つまり未来という「非日常」を舞台に、今に通じる日常を描くことで新たな面白さが生まれると思ったからです」と、本作のコンセプトを後日述懐している。
藤子・F・不二雄が珍しく「楽しんで描いた」と語る作品だったが、連載当時は評価は芳しくなく、この当時の藤子作品は早々にテレビアニメ化されていたが本作は実現しなかった。
しかし、後年になるに従ってしだいに再評価されるようになり、1981年に映画化、さらに1991年にようやくテレビアニメ化された。
2010年、小学館発行の藤子・F・不二雄大全集のラインナップとして、全2巻で刊行された。 2011年、アニメ版の全話がDVD化された。


 

筆者の宝物

「ざっくり」あらすじ

2018年地球は宇宙人たちとの交流が進み、国際連合ならぬ星間連合にも加入して、多くの惑星からの観光客がひっきりなしに訪れる一大観光惑星となっていた。そんな中、トウキョウシティーに居を構えるホテル「つづれ屋」は、江戸幕府の成立とほぼ同時に旅館として開業して以来、初代当主の市右衛門、2代目仁右衛門、3代目参右衛門…と20代、四百数十年にわたって細々と続く老舗ホテルだが、訪れる客はサッパリで隣接する豪華なホテル・ギャラクシーやオリオンホテルなどに圧倒されて潰れる寸前であった。
現当主の20エモンはどうにか客を呼び込もうと必死になるが、その跡取り息子の21エモンはホテル経営に関心を持とうとせず、宇宙にあこがれパイロットになって大宇宙を冒険したいという夢を持っていた。家業に専念して欲しい父親に叱咤されて21エモンはしぶしぶボーイとして働くが、コツコツとチップを貯め、いつかは自分のロケットを買いたいという夢をあたため続ける。「つづれ屋」に居候する宇宙生物モンガーやボーイとして働かされているイモ掘りロボットのゴンスケといった強烈な個性を持った家人たち、さらには宇宙からのおかしな客が次々とホテルに押しかけて、21エモンと「つづれ屋」は毎日のように珍騒動に巻き込まれる。
外見も風俗習慣も全く異なる宇宙人の宿泊客や、進歩した宇宙文明に触れてすっかり変わった地球文明の様子なども描かれる。基本的に「つづれ屋」が舞台となるコメディーだが、連載中21エモンは3度宇宙へ旅をすることになり(1日だけの旅も含めれば5度)、物語は宇宙を巡る冒険ものへとシフトしたこともあった。なおアニメでは、テレビ版・81年の劇場版とも、宇宙への夢とつづれ屋発展の夢を両立させる形で終わっている。


 

作者愛用の品々

コミックス

  • 虫コミックス(虫プロ商事) 全3巻(絶版)
  • てんとう虫コミックス(小学館) 全4巻(絶版)
  • 藤子不二雄ランド(中央公論社) 全5巻(絶版)
  • 小学館コロコロ文庫 全3巻
  • 藤子・F・不二雄大全集(小学館) 全2巻 第2巻には、既存の単行本で未収録だったモンガーを主人公にした「モンガーちゃん」も収録されている。