日本の児童向け生活ギャグ漫画作品。タイムマシンなども登場し、サイエンス・フィクション作品としての一面も持つ。※ 記事中の各話の話数・副題は、特記のない限り〈藤子・F・不二雄大全集〉版に準拠する。
発明好きの小学生・木手英一(通称:キテレツ)が、江戸時代の発明家であった先祖・キテレツ斎の残した書物『奇天烈大百科』(キテレツだいひゃっか)を参考として様々な発明道具を作り、その発明道具で起こす騒動を描く。藤子Fは平凡な日常の中に異世界のキャラクターを投入してそのズレによって笑いを作り出す「生活ギャグ漫画」を多く執筆したが、本作はこの「生活ギャグ漫画」から発展した作品の一つであり、異世界要素である発明道具を主人公自らが作り上げ、ものを作り上げる喜びや楽しみが描かれている点が大きな特徴となっている。こうしたものを作り上げる喜びや楽しみ描写は、工作を愛した藤子Fの趣味が反映されたものと考えられている。
発行元の家の光協会が農協系の出版団体であったために掲載誌の『こどもの光』は普通の書店では購入することができず、連載当時にはマイナーな作品であった。


 

筆者の宝物

「ざっくり」あらすじ
発明が大好きな小学生・キテレツは、発明家であった先祖のキテレツ斎がその発明道具を書き記したと伝えられる『奇天烈大百科』を親から譲り受けるも全てが白紙で何も書かれていなかった。一度は落胆するも、共に伝わった眼鏡・神通鏡(じんつうきょう)を通して見た場合にのみ読めることを発見し、第1作としてロボット・コロ助を作り上げる。コロ助を助手として『大百科』を参考にした発明道具作りを続けていたキテレツであったが、一見すると何も書かれていない『大百科』を母親がゴミと間違え捨ててしまう。必死に捜索も間に合わずに『大百科』は灰となってしまうが、『大百科』に頼らない自力での発明を目指し、キテレツは勉強を始める。


 

作者愛用の品々

主要登場キャラ
キテレツ(本名:木手英一)
本作の主人公で、発明が大好きな小学生。『奇天烈大百科』を参考として、様々な発明道具を自作する。常にサンバイザーと神通鏡を身につけている。発明に夢中になると群を抜いた集中力を見せ、周りが見えなくなる。藤子F作品としては例の少ない、優秀で知的な主人公。
コロ助
意思や感情を持ちしゃべることもできるロボット。キテレツが『奇天烈大百科』を参考として初めに作った発明道具であり、以降キテレツの助手を務める。斜視で頭に丁髷を結い、語尾に「〜ナリ」をつけて話す。
キテレツ斎
キテレツが尊敬している先祖で、江戸時代の発明家。リリエンタールのグライダーよりも前に飛行機を完成させたが、「怪しげな術を用いて世間を騒がせた」として捕まり、死ぬまで座敷牢に軟禁された。自分の発明を密かに『奇天烈大百科』として書き残し子孫に伝えた。
みよちゃん
本作のヒロイン。キテレツとは昔からの友達でクラスメイト。キテレツとは互いに密かに思いを寄せ合っている。